お部屋の中に広がる、賑やかな段ボールの
お家と手作りの街。
そこは今、こどもたちにとって最高に楽しい
「社会の練習場」へと進化しています。
「お友達のお家へ行くときは、どうすればいいかな?」「知らない人に声をかけられたら?」
遊びの延長線上に、生きていくために
大切なルールを散りばめた
ソーシャルスキルトレーニング(SST)。
大きなお家という、
大好きな場所があるからこそ、
一歩ずつ楽しみながら社会を学んでいく
こどもたちの様子をお届けします。


右見て、左見て。お家へと続く「安全な道」
最初に取り組んだのは、お家へ遊びに行くまでの交通ルールです。
床にテープで引かれた横断歩道の前に立つと、みんな自然と背筋が伸びます。
「右を見て、左を見て、もう一度右を見て…」
スタッフの声に合わせて、ピッと高く手を挙げて慎重に道を渡る姿には、日頃の意識の積み重ねが感じられました。
大好きな段ボールのお家へ向かうというワクワクする目標があるからこそ、安全確認の一つひとつにも力が入ります。
自分の命を守るための大切な動作を、こどもたちは遊びの中でしっかりと身につけていきました。


「おじゃまします!」 玄関から始まる心の交流
無事に横断歩道を渡り、お家の玄関に到着したら、次はマナーの練習です。
「トントン」とドアをノックして、「おじゃまします!」と元気にご挨拶。
お家の中で待っているお友達に対して、礼儀正しく振る舞う。
それは、相手を大切に想う気持ちを形にする練習でもあります。
中に入ってお話をしたり、おままごとを楽しんだりするシチュエーションを体験しながら、社会の中で必要な「やり取り」の基礎を学んでいきました。
段ボール一枚を隔てた空間が、こどもたちの社会性を育む大切なステージへと変わっていました。

自分の身を守る勇気。「いかない!」と伝える強さ
さらにこの日は、防犯のためのロールプレイも行いました。
スタッフが「知らない人」に扮して声をかける場面では、みんな真剣そのものです。
「一緒にお菓子を食べに行かない?」「こっちにおいで」
そんな誘いに対して、「いかない!」「いやだ!」とはっきり言葉で伝える練習をしました。
上手く言葉が出ないときでも、首を振って拒否の意思を示したり、大きな声で助けを呼んだり。
自分の身を自分で守るためのたくましさを、安全な環境の中で繰り返し練習しました。
大きなお家を舞台に、勇気を持って「NO」と言えた経験は、こどもたちの心の小さなお守りになったはずです。

五感と心のしおり
🌿 五感で感じるひととき
- 👀 みる : 空高く挙げられた手と、信号を見つめる真剣な眼差し
- 👂 きく : 「おじゃまします!」という元気な声と、「いかない!」という自分を守る力強い言葉
- 🤝 さわる : 玄関のドアをノックする拳の手応えと、一歩一歩踏みしめる横断歩道の感触
✨ 心の奥に、そっと芽吹くもの
- 🧡 礼儀と敬意 : 相手の場所を訪ねる際のマナーを学び、お友達を大切にする心
- 🌟 自分を守る自信 : 正しい対応を知ることで、「NO」と言える勇気とたくましさ
- 🌈 社会への第一歩 : ルールを守って行動できた達成感が、自立への確かな自信に繋がる瞬間
遊びの中に、社会で生きるための知恵を込めて。
大きなお家は、こどもたちの成長を優しく包み込む「学びの教室」でもありました。
信号を見て、挨拶をして、自分を守る勇気を持つ。
そんな日々の小さな学びを自信に変えて、新しい世界へも力強く踏み出してほしいと願っています。
さて、次回の第4話。このお家にある「ポスト」をきっかけに始まった、温かな心の交流の物語をお届けします。どうぞお楽しみに!

